反対するなら今? 2

 東京都のスピーキングテストの入試での扱い方,配点その他詳細は未定です。2年かけて詰めていくとのことです。ただ,スピーキングテストの実施日だけは,受検する中3生の英語力の到達度を「考慮」した上で「11月の第4土曜日から12月の第2日曜日までの期間における週休日又は祝日とする」としています。
 
 この時期の直前に都内ほとんどの中学校では「期末テスト」があります。テストが設定されるこの土日は私立高校の説明会真っ盛りの時期でもあります。期末テスト後に出る暫定の内申をもとに親子ともども入学可能な高校を探し,参加するのです。

 さらに,12月上旬は中学校で「三者面談」が行われ,最終的な「私立推薦(単願・併願)」を決定しなければならない時期です。しかも,都立高校志望校も(2月上旬出願なのに)「もう決めてください」と言われる頃でもあります。

 そこにこのテストが実施されたら,受験生の負担はかなり増すことになるのではないでしょうか。塾でさえこの時期の対応は大変なのに,学校の現場は大丈夫なのでしょうか。保護者の方もさらに検討しなければならないことが増えて,悩ましいことでしょう。

 「教育内容をいくら変えても,結局入試制度が変わらなければ意味がない」という議論が昔からありました。
近年は「ゆとり教育」など,教育内容を先に変えようとして失敗してしまったため,今回は「2020大学入試改革」と同様に,入試制度を先に変えようとしているように見えます。

 ゆとり教育以降,教育内容はだいぶ元に戻せましたが,今回のように入試制度を先に変える場合,元に戻せないと思います。40年前に「大学入試共通一次試験」が導入されたとき,世間では「10年でなくなる」と言われていました。それが「センター試験」になり,今度は「共通テスト」となって存続します。英語の「4技能」もまだ議論をしている中,国語と数学に少し記述式が増えるだけで「改革」だそうです。そもそも入試を「選択式」ばかりにしたのはマークシート方式を導入した「共通一次」でした。それ以前は国立も私立もほぼ「記述式」だったのです。その元凶が改革だなんて言い出したのはちょっと笑えます。

 このスピーキングテストもいったん導入されたら,よほどのことがない限り存続するのでしょう。