学習の優先順位 3

以前にも書いたように,一昨年度入試から私立大学一般入試の「定員厳格化」によって、大学への進学が厳しくなっています。

 4/8付の朝日新聞にも「模試でA判定が出ても不合格」という見出しで大学の一般入試が年々厳しくなっているという記事が載っていました。

 ただ、大学の一般入試が厳しくなったことは「定員厳格化」だけが原因ではありません。

もう1つ理由があります。それは近年、各私立大学が定員の半数近くを推薦入試でとるようになったことです。

付属校がある大学はそこから毎年定数が推薦入学していますが、それ以外の指定校・一般などの推薦枠をさらに増やそうとしています。

早稲田大学の総長が,「イヤイヤ何となく来るのではなく」推薦などの「第一志望で入ってくる子が欲しい」と語っている通り、その大学に「入りたい」と真剣に希望する生徒を大学側もほしいと思っているからです。

推薦の定員が増えた分、一般入試での合格者定員が減っているのですから、入試が厳しくなって当たり前なのです。

 大学にはいろいろな推薦制度がありますが、ここでは現役(高3生)のみが対象の「指定校推薦」という高校内選抜をクリアさえすれば大学に合格できる制度についてお話をします。

 「無試験で有名大学に合格できる」受験生にとっては夢のような制度です。

しかし、その制度を利用するには「評定平均値」という「全学年,全科目の評定を平均した数値」が必要です。

指定校推薦は
「1年・2年の学年末と3年1学期の評定の平均が、大学から示された評価を超えていることが条件となり、同じ大学の同じ学部を志望している生徒が複数いる場合は評定の高い生徒から選ばれる」
制度です。

そのため、「指定校推薦」での大学進学を考えれば、高校入学時から高い評定が必要です。

また、「指定校推薦」枠が、どの大学の,どの学部で,どのくらいの人数あるのか,は各高校によって異なります。

「指定校推薦」は各大学から高校への信頼でできている推薦制度です。

当然ですが、レベルの高い高校ほど、レベルの高い大学から多くの推薦枠を得ています。

入りやすい高校には入りやすいレベルの大学の枠しかありません。

 高校入試で、どの高校に入るかによって既に大学入試の大まかな道筋が決まってしまうとも言えます。

 高校で高い評定を得るためには、遅くとも中学生のうちには「常にコツコツと学習する子=学習の習慣が身についている子」になることが必要です。

その学習習慣を身につけるには保護者の方の「学習優先順位」が高いことが必要です。

それは保護者が子供と一緒に学習するということではなく、「今、学習をしておけば絶対に我が子のプラスになる」という確信を持ち続け、励まし応援し続けることなのです。

「睡眠や食事など日々の子供の生活習慣を守る」「自宅での学習をさせるための声かけ」「ゲーム・スマホ・タブレット・テレビ・マンガなどの管理」を徹底することが大切です。

実際に当塾で「学習習慣が身についている」と感じる生徒の保護者の方は例外なくそういう方です。

これらは「親として子どもを良くしたい」という思いからくるもので、「子どもの将来の選択肢を大きく広げることになるから、私は子どもにできるだけ高い学力を持たせたい」そう考えることが学習の優先順位を高める理由なのです。

それが、推薦枠が高く有利な高校、そしてその中での高い評定につながっていくわけです。

 ですから、お子さんが「学習」するように、保護者として遠慮することなく、強く導くことをお勧めします。

 以前、当塾から国立高校へ進学した子で、高3になってから、どうしても慶応義塾大学法学部の指定校推薦を受けたいと言い出した子がいました。

2年生終了の時点で評定平均は慶應法学部の基準に達していません。

半分冗談のつもり(これを読んでいたら失礼!)で「今学期(3年1学期)オール5にしたら、どうにかなるんじゃない?」と言ってみました。

そうしたら、本当に1学期にオール5を取り、見事に基準を超えて入学できたのです。

 このように少し無理なことでも、諦めることなくがんばることが大切だと思います。

もちろん、達しないまでも基準に近いくらいの評定は普段から得ていたからこそできたことです。

普段の継続した学習が最も大切だということです