親離れ・子離れ

塾仲間で行った意見交換会の中で、もう1つ保護者の方にお伝えしたいことがある。

それは「親離れ・子離れ」についてだ。

ある予備校の先生が、子供の親離れは成長とともに自然とできていくが、親の「子離れ」はなかなかできないこと、と「子離れ」の意識の大切さを話していた。特に子供と関わる母親の子離れについて、いろいろな例を教えてくれた。

聞いていれば、納得はできる。「子離れ」が大切なこともよくわかる。しかし、私も息子と娘のいる身、子離れの難しさもよくわかるのだ。

お腹の中で10ヶ月近くも一体だったのだ。生まれてからだって、私がすべてをしてあげなければ何もできないところからずっと一緒にいたのだ。幼い頃のかわいい姿。「お母さん」と言って抱きついてきたり、「大好き」と言ってくれたり。もうかわいくて仕方がなかった我が子たち。背丈が大きくなり、多少生意気なことを言っても、かわいいことに変わりはない。その面影はいつまでも記憶の中にあり、いつまでもあのころと変わらないと思ってしまう母心。だからあれこれしてあげたくなるのだ。

私が子供の親離れを意識したのは息子が小学2年生の時。外を2人で歩いていた時に息子から手をつないできた。前から同級生が歩いてくるのが見えた瞬間に息子は私の手を振り払った。ショックな気持ちと大人になったのだといううれしさが同時にやってきて、複雑な心境になった。

以降、年齢が上がるにつけ、勝手に親離れをしていっているように思う。でも私は幼い頃の感覚のまま息子に接して、あれこれ世話を焼いてしまうことがあった。本当は良くないのだけれど、ついやってしまうのだ。主人に「そこまでやらなくてもいいのでは?」と注意を受けることもあった。線引きも難しかったが、少しずつ、子離れを意識していくようにした。

今は子離れできていると思う。あんなに「寂しいかも」と思った子離れもしてみたら、自分のことに費やせる時間が増えてきて、「元気で留守がいい」という思いに至っている。

子どもが高校生くらいになったら、親離れは加速すると思っておくといいのかもしれない。その頃までには、親として子離れの意識を常に持つべきだろう。意識しなければできないからだ。

たとえ子離れができたとしても、子供に何かがあった時には親が子供の1番の味方であることに変わりはない。