小学生の授業終わりに

小学生の授業が終わって見送りをする頃、お母さんに連れられた幼い男の子とその妹と思われる女の子が、かわいく歩いているのをよく見かける。

おそらく、保育園のお迎えからの帰り道なのだろうと勝手に思っている。

このお母さんはいつも左右の手をそれぞれ子どもとつなぎ、ご自分が車道側を歩いている。体勢が想像できるだろうか?お母さんは歩きづらいだろうなあといつも思っているが、塾の前の道路は歩道がなく、小さい子にとってはちょっと危険なのだ。

私は、自分の子供がまだ小さかった頃、道路を歩くときには、車道側から私、娘、息子の順番で、私とお兄ちゃんで妹をはさむように手をつながせていた。心のどこかでお兄ちゃんは大きいのだからと思っていた。この親子を見かけるようになって、自分は上の子に我慢させていたのかもしれないと思った。それほど年が違わないのだから、上の子だってお母さんと手をつなぎたかったはずなのだ。

私自身は長女だったのだが、幼いころ3つ年下の弟がお母さんにあれこれしてもらうのをうらやましいと思っていた。弟にはしてあげるのに、自分にはしてくれないと不満を持っていたものだ。「弟ばっかりずるい」と言うと「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われていたのに、同じことを自分の息子にしてしまっていた。

この親子の帰り道は、特にお兄ちゃんにとってはうれしいことなのだと思う。だって、大好きなお母さんと手がつなげるのだから。

今日、小学生を送るために塾の外に出た時に、たまたまその女の子と目が合った。私を見つめ、一瞬立ち止まった女の子にお母さんが「歩く方を見ようね」と優しく声をかけて歩くのを促している。少し歩いてまた、女の子が私を見てくれたとき(よっぽどめずらしいおばさんだったのだろうか)思わず手を振ってしまった。そうしたら、お母さんとつないでいない方の手でかわいく振り返してくれた。

心がほっこりした。