反抗期
反抗期。
「親に歯向かうようになった」「親にひどいことを言う」や男の子だと部屋に閉じこもりがちになるなどもよくあるパターンだ。そういう状態になった時に親なら誰でも心配するだろう。
心配されているご両親には「おめでとうございます。お子さんは順調に成長されています。大人に成長していく過程で必ず必要なことです。安心してください。」と声をかけたい。
精神面の成長過程で反抗期はなくてはならない。
卵から雛がかえる時に卵の殻を破ろうと内側からくちばしで卵に穴をあけ、中で雛が手足を動かし、外に出てくる。これと同じだと思えばいい。
反抗期は「子供」という守られた存在が「自立」するために精神面の子供という卵の殻を破ろうと雛がじたばたしている状態なのだ。
「自分」という意識(自我)の確立のためにジタバタしているのだ。
あれこれ口出しをしたり、部屋に閉じこもったりしながら、無意識に心がジタバタする。
振り返れば、だれでも中高校生くらいの頃に、なぜかはわからないけれど、親の存在を疎(うと)ましく感じたり、逆らったりしたことがあるはずだ。
それを行動や言葉に出したり、出さなかったり、出したとしても大きかったり、小さかったりなども様々だと思う。
反抗期で部屋に閉じこもりがちなら、放っておけばいい。時間がたって、心が落ち着けば、必ず部屋から出てくるから。
あんなにかわいかった我が子が反抗期で「うるせえ、くそばばあ」「うざい」くらいのことは言うかもしれない。
そう言われた時が肝心だ。絶対に態度や口で負けてはならない。
知り合いの塾長先生の奥さんはそういう言葉を息子さんが言った時に飛び蹴りをしたそうだ。ある時は「くそばばあって言ったら、次の学校公開の時に髪の毛ぼっさぼさのすっぴんで、一番ダサい服を着て学校に行くわ。くそばばあだから。そして、友達の前で名前呼んで、手を振ってあげる。」と言い返されたそうだ。
あるお母さんはすべての言葉をオウム返しにしたそうだ。「くそばばあ」と言われ「じゃあ、お前はくそばばあの子なんだ」。「信用できない」と言われ「お前は自分が信用できない人の子なんだ」と言ったら、黙ったとおっしゃっていた。
私の場合は息子と本気で言い合った。そして「ふざけるな。出ていけ」と息子の腕を取り、玄関まで引きずっていった。玄関で息子はつかまれていた腕を振り払って、私の手を解き、プイッとして部屋に閉じこもった。1度ならず、何度かそういうことがあった。
このブログを書くときにその時のことを思い返してみた。反抗期の頃、息子は私と同じくらいの背丈だった。男の子だから力はあったはずだ。本当に反抗していたら、「私に腕を取られ、玄関まで引きずられる」などということはないなと思った。「ああ、息子はわざと引きずられたんだな」と気づいた。
大人への成長過程の反抗期。
それは大人になる前に再度「親の愛を試すとき」なのだと思う。
子が親に「こんなにひどいことを言っても、許してもらえるくらい自分は愛されている」と自己肯定感を高める時なのだと思う。
自分の学生時代も思い返せば反抗期はそういう気持ちだったなと思う。
自立して独り立ちするための確認。
反抗期の言葉が来たら「来た来た。うちの子はちゃんと成長している」と心の中で喜びながら、最後まで言い返そう。多少無茶苦茶でもいいから、親が勝つまで言い返そう。