情報弱者

私は、自分の実家や主人の実家が自宅から遠かったために、子供が幼い時に実家に面倒を頼むことができなかった。塾の仕事は夕方から始まるため、保育園の利用もできなかった。そのため、民間の会社を通して「保育ママさん」を紹介してもらい、その方に子供たちを預けていた。

娘が3歳の時にその保育ママさんの近くに引っ越しをした。

タイミングを逃し、娘を3年保育で幼稚園に入れることができなかった。

3歳児はパワフルだ。家に閉じ込めておくこともできず、週1回のリトミック教室に入れた。娘はワクワクしながらそのリトミック教室に通った。毎日「教室に行きたい」とせがまれた。「3年保育で通わせればよかった」「もっと回数の多い教室があればいいのに」と1年間思い続けた。

2年保育の幼稚園に入園したのだが、ほとんどの子供たちもママたちも知り合いのようだった。聞けば、その幼稚園に入る前にプレの幼児教育を受けられるところが近所にあり、皆1年間はそこに通っていたのだそうだ。

集団生活にも、幼稚園で行ういろいろなこともそのプレ教室ですでに学んでいたそうだ。

それを聞いて、「そのプレ教室の情報をもっと前に、知っていたら」と何度も思った。その情報を知っていれば、娘にとって入園前の1年がもっと充実したはずだったと後悔した。

当時、インターネットはあっても、スマホやSNSが現在のように盛んではなかったために、情報を得られるのは一部のHP、本やテレビ、あとは口コミ程度しかなかった。そのうえ、引っ越してきたばかりで、近所付き合いもほとんどなかったから、情報が得にくかったのだ。

そんな時代でも、情報をたくさん持ち、自分や子供のために使っているママたちもいた。

私はというと、すべてが後手に回ってしまっていた。娘には申し訳ないことをしてしまった。

今だったら、指先1つであっという間に調べられる。もちろん、すべてが真実ではないから、今度は溢れるほどの情報から嘘を見抜けるようにならなければならない。

現代で、その当時の私のような情報弱者になってしまったら、当時私が娘に感じた以上に申し訳ないことになってしまう。

だから、当塾の保護者の方や生徒には、正しい情報をできるだけ多くお伝えするようにしているのである。