オークション
先日、インターネットのオークションに、一般の塾で使用される今年の学力テスト5月号が解答付きで出品されているのを見つけた。
出品したのは、塾関係者以外考えられないが、何をやっているのだろうと呆れてしまった。
学力テストは受検者が「自分の学力が今どのくらいあるのか」、学力の現在地を測るために行うものだ。それを前もって、答え付きのテストを購入させて、いい点を取らせようとでも考えたのだろうか。
そんなことをして、いい点数やいい偏差値をとって何になるのだろう。
以前、中学生の入会問い合わせがあり、保護者の方にお子さんの定期テストの得点個人票を持ってきてもらった。ところが、その個人票は一見して何か妙な感じがしたのだ。そこでよく見てみると、いくつかの科目の得点だけ印字のフォントがわずかに傾いていた。
その子本人に話を聞いてみると「点数が低いテストは恥ずかしいので、自分で点数をプリンタなどを使って修正してから、親に渡していた」とのことだった。
実際の得点は、フェイク個人票に書かれた得点の3分の1以下だった。(これだと保護者も本当は気付いていたのかも知れない)
これは衝撃的なことだった。長年塾をやっていて本当に驚いた。「今はそこまでやる子がいるのか…」当然入塾はお断りした。
そこまでやって点数をごまかしても、何の意味も持たないことに気づかないのだろうか。
点数が悪いことで叱られたりすることから一時的には逃げられるのかもしれない。でも、偽物はいつかメッキが剥げる。
オークションで買ったテストの解答を丸暗記し、いい点を取り、志望校判定が高かったとしても、実際の入試で合格はできない。
そんな姑息な手段を子どもたちに使わせるために、お金を取ってテストをわざわざオークションに流す…。
数日後に見た時、すでにそのオークションは終了していた。誰かが落札したのか、落札者なしで終わったのかはわからない。
今日、塾では中3生が毎週恒例の漢字・英単熟語テストを受けていた。生徒たちは塾に来てテストが始まるまでのわずかな時間も確認に余念がない。自らの力で暗記に打ち込む姿に頼もしさを感じた。