うまい棒はプライスレス

当塾では小中高を問わず、テストで満点の子には「うまい棒」が渡される。

以前、高校生に「高校生にうまい棒はうれしくないよね?」と聞いたところ、「満点を認められたうまい棒はうれしい」とのことだったので、分け隔てなく渡すようにしている。

ところで、小学部の国語の授業では毎週、学校の「漢字ドリル」のテストを行っている。

このテストは学校とは異なり、確実に漢字が書けるように、「新しい範囲」と「復習範囲」をセットにしてスパイラル方式で何度も実施している。

片方の範囲だけでも満点を取るにはかなりの練習が必要だ。

今週この2つの範囲とも満点だった女の子。

うまい棒は数種類の味を常にストックしているので、好きなものを選んでもらう。

その女の子はまず「めんたいこ」を選び、次に「チーズ」を選んだ。

「おめでとう」と言いながら手渡し、「辛(から)いの、大丈夫なの?」と尋ねた。

「明太子はお父さんに、チーズはお母さんが好きだから」と答えてくれた。

チーズ味のうまい棒を大切そうにカバンにしまい、明太子味のうまい棒のほうは、手に持って帰ろうとしていたので「両方かばんにしまったほうがいいのでは?」と声をかけた。

でもそれは、車でお迎えに来てくれるお父さんにすぐに手渡すためなのだそうだ。

自分が満点のご褒美で得たうまい棒を自分が食べるのではなく、お父さんとお母さんにプレゼントする。そんなうまい棒を私がもらったら、宝物にするなと思った。

10円のうまい棒だけれど、このうまい棒はご両親にとってはプライスレスだろうと思う。